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道路交通法(第4章〜第5章)

第4章 運転者及び使用者の義務

第64条(無免許運転の禁止)

 何人も、第八十四条第一項の規定による公安委員会の運転免許を受けないで(第九十条第三項、第百三条第二項若しくは第四項又は第百三条の二第一項の規定により運転免許の効力が停止されている場合を含む。)、自動車又は原動機付自転車を運転してはならない。

(罰則 第百十八条第一項第一号)

 

第65条(酒気帯び運転等の禁止)

 何人も、酒気を帯びて車両等を運転してはならない。

2 何人も、前項の規定に違反して車両等を運転することとなるおそれがある者に対し、酒類を提供し、又は飲酒をすすめてはならない。

(罰則 第一項については第百十七条の二第一号、第百十九条第一項第七号の二)

 

第66条(過労運転等の禁止)

 何人も、前条第一項に規定する場合のほか、過労、病気、薬物の影響その他の理由により、正常な運転ができないおそれがある状態で車両等を運転してはならない。

(罰則 第百十七条の二第一号の二、第百十八条第一項第三号)

 

第67条(危険防止の措置)

 警察官は、車両等の運転者が第六十四条、第六十五条第一項、前条又は第八十五条第五項若しくは第六項の規定に違反して車両等を運転していると認めるときは、当該車両等を停止させ、及び当該車両等の運転者に対し、第九十二条第一項の運転免許証又は第百七条の二の国際運転免許証若しくは外国運転免許証の提示を求めることができる。

2 車両等に乗車し、又は乗車しようとしている者が第六十五条第一項の規定に違反して車両等を運転するおそれがあると認められるときは、警察官は、次項の規定による措置に関し、その者が身体に保有しているアルコールの程度について調査するため、政令で定めるところにより、その者の呼気の検査をすることができる。

3 前二項の場合において、当該車両等の運転者が第六十四条、第六十五条第一項、前条又は第八十五条第五項若しくは第六項の規定に違反して車両等を運転するおそれがあるときは、警察官は、その者が正常な運転ができる状態になるまで車両等の運転をしてはならない旨を指示する等道路における交通の危険を防止するため必要な応急の措置をとることができる。

 (罰則 第一項については第百十九条第一項第八号第二項については第百二十条第一項第十一号)

 

第68条(共同危険行為等の禁止)

 二人以上の自動車又は原動機付自転車の運転者は、道路において二台以上の自動車又は原動機付自転車を連ねて通行させ、又は並進させる場合において、共同して、著しく道路における交通の危険を生じさせ、又は著しく他人に迷惑を及ぼす行為をしてはならない。

(罰則 第百十八条第一項第三号の二)

 

第69条

 削除

 

第70条(安全運転の義務)

 車両等の運転者は、当該車両等のハンドル、ブレーキその他の装置を確実に操作し、かつ、道路、交通及び当該車両等の状況に応じ、他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転しなければならない。

(罰則 第百十九条第一項第九号、同条第二項)

 

第71条(運転者の遵守事項)

 車両等の運転者は、次の各号に掲げる事項を守らなければならない。

 一 ぬかるみ又は水たまりを通行するときは、泥よけ器をつけ、又は徐行する等して、泥土、汚水等を飛散させて他人に迷惑を及ぼすことがないようにすること。

 二 身体障害者用の車いすが通行しているとき、目が見えない者が第十四条第一項の規定に基づく政令で定めるつえを携え、若しくは同項の規定に基づく政令で定める盲導犬を連れて通行しているとき、耳が聞こえない者若しくは同条第二項の規定に基づく政令で定める程度の身体の障害のある者が同項の規定に基づく政令で定めるつえを携えて通行しているとき、又は監護者が付き添わない児童若しくは幼児が歩行しているときは、一時停止し、又は徐行して、その通行又は歩行を妨げないようにすること。

  二の二 児童、幼児等の乗降のため、政令で定めるところにより停車している通学通園バス(もつぱら小学校、幼稚園等に通う児童、幼児等を運送するために使用する自動車で政令で定めるものをいう。)の側方を通過するときは、徐行して安全を確認すること。

  三 道路の左側部分に設けられた安全地帯の側方を通過する場合において、当該安全地帯に歩行者がいるときは、徐行すること。

  四 乗降口のドアを閉じ、貨物の積載を確実に行なう等当該車両等に乗車している者の転落又は積載している物の転落若しくは飛散を防ぐため必要な措置を講ずること。

 四の二 車両等に積載している物が道路に転落し、又は飛散したときは、速やかに転落し、又は飛散した物を除去する等道路における危険を防止するため必要な措置を講ずること。

 四の三 安全を確認しないで、ドアを開き、又は車両等から降りないようにし、及びその車両等に乗車している他の者がこれらの行為により交通の危険を生じさせないようにするため必要な措置を講ずること。

 五 車両等を離れるときは、その原動機をとめ、完全にブレーキをかける等当該車両等が停止の状態を保つため必要な措置を講ずること。

 五の二 自動車又は原動機付自転車を離れるときは、その車両の装置に応じ、その車両が他人に無断で運転されることがないようにするため必要な措置を講ずること。

 五の三 正当な理由がないのに、著しく他人に迷惑を及ぼすこととなる騒音を生じさせるような方法で、自動車若しくは原動機付自転車を急に発進させ、若しくはその速度を急激に増加させ、又は自動車若しくは原動機付自転車の原動機の動力を車輪に伝達させないで原動機の回転数を増加させないこと。

 五の四 自動車を運転する場合において、第七十一条の五に規定する者又は第八十四条第二項に規定する仮運転免許を受けた者が表示自動車(第七十一条の五又は第八十七条第三項に規定する標識を付けた普通自動車をいう。以下この号において同じ。)を運転しているときは、危険防止のためやむを得ない場合を除き、進行している当該表示自動車の側方に幅寄せをし、又は当該自動車が進路を変更した場合にその変更した後の進路と同一の進路を後方から進行してくる表示自動車が当該自動車との間に第二十六条に規定する必要な距離を保つことができないこととなるときは進路を変更しないこと。

 六 前各号に掲げるもののほか、道路又は交通の状況により、公安委員会が道路における危険を防止し、その他交通の安全を図るため必要と認めて定めた事項

(罰則 第一号、第四号から第五号まで、第五号の四及び第六号については第百二十条第一項第九号、第二号から第三号までについては第百十九条第一項第九号の二)

 

第71条の2(自動車等の運転者の遵守事項)

 自動車又は原動機付自転車(これらのうち総理府令で定めるものを除く。以下この条において同じ。)の運転者は、道路運送車両法第四十一条第十一号又は第四十四条第八号に規定する消音器を備えていない自動車又は原動機付自転車(当該消音器を切断したものその他の消音器の機能に著しい支障を及ぼす改造等で総理府令で定めるものを加えた当該消音器を備えている自動車又は原動機付自転車を含む。)を運転してはならない。

(罰則 第百二十一条第一項第六号)

 

第71条の3(自動車の運転者の遵守事項)

 自動車の運転者は、道路運送車両法第三章又はこれに基づく命令の規定により当該自動車に備えなければならないこととされている座席ベルト(以下「座席ベルト」という。)を装着しないで自動車を運転してはならない。ただし、疾病等のため座席ベルトを装着することが適当でない者が自動車を運転するとき、第三十九条第一項に規定する緊急自動車の運転に従事する者が当該自動車を運転するとき、その他の政令で定めるやむを得ない理由があるときは、この限りでない。

2 自動車の運転者は、座席ベルトを装着しない者を運転者席の横の乗車装置(当該乗車装置につき座席ベルトを備えなければならないこととされているものに限る。以下この条において同じ。)に乗車させて自動車を運転してはならない。ただし、疾病等のため座席ベルトを装着させることが適当でない者を当該乗車装置に乗車させるとき、その他の政令で定めるやむを得ない理由があるときは、この限りでない。

3 自動車の運転者は、他の者を運転者席の横の乗車装置以外の乗車装置に乗車させて自動車を運転するときは、その者に座席ベルトを装着させるように努めなければならない。

 

第71条の4(自動二輪車等の運転者の遵守事項)

 自動二輪車の運転者は、乗車用ヘルメットをかぶらないで自動二輪車を運転し、又は乗車用ヘルメットをかぶらない者を乗車させて自動二輪車を運転してはならない。

2 原動機付自転車の運転者は、乗車用ヘルメットをかぶらないで原動機付自転車を運転してはならない。

3 大型自動二輪車(側車付きのものを除く。以下この条において同じ。)の運転者は、高速自動車国道及び自動車専用道路においては、運転者以外の者を乗車させて自動二輪車を運転してはならない。

4 第八十四条第三項の自動二輪車免許を受けた者で、当該自動二輪車免許を受けていた期間(当該免許の効力が停止されていた期間を除く。)が通算して一年に達しないもの(当該免許を受けた日前六月以内に自動二輪車免許を受けていたことがある者その他の者で政令で定めるものを除く。)は、運転者以外の者を乗車させて自動二輪車を運転してはならない。

5 第一項及び第二項の乗車用ヘルメットの基準は、総理府令で定める。

(罰則 第三項及び第四項については第百二十条第一項第九号)

 

第71条の5(初心運転者標識の表示義務)

 第八十四条第三項の普通自動車免許を受けた者で、当該普通自動車免許を受けていた期間(当該免許の効力が停止されていた期間を除く。)が通算して一年に達しないもの(当該免許を受けた日前六月以内に普通自動車免許を受けていたことがある者その他の者で政令で定めるものを除く。)は、総理府令で定めるところにより普通自動車の前面及び後面に総理府令で定める様式の標識を付けないで普通自動車を運転してはならない。

 (罰則 第百二十一条第一項第九号の三、同条第二項)

 

第2節 交通事故の場合の措置等

 

第72条(交通事故の場合の措置)

 車両等の交通による人の死傷又は物の損壊(以下「交通事故」という。)があつたときは、当該車両等の運転者その他の乗務員(以下この節において「運転者等」という。)は、直ちに車両等の運転を停止して、負傷者を救護し、道路における危険を防止する等必要な措置を講じなければならない。この場合において、当該車両等の運転者(運転者が死亡し、又は負傷したためやむを得ないときは、その他の乗務員。以下次項において同じ。)は、警察官が現場にいるときは当該警察官に、警察官が現場にいないときは直ちに最寄りの警察署(派出所又は駐在所を含む。以下次項において同じ。)の警察官に当該交通事故が発生した日時及び場所、当該交通事故における死傷者の数及び負傷者の負傷の程度並びに損壊した物及びその損壊の程度、当該交通事故に係る車両等の積載物並びに当該交通事故について講じた措置を報告しなければならない。

2 前項後段の規定により報告を受けたもよりの警察署の警察官は、負傷者を救護し、又は道路における危険を防止するため必要があると認めるときは、当該報告をした運転者に対し、警察官が現場に到着するまで現場を去つてはならない旨を命ずることができる。

3 前二項の場合において、現場にある警察官は、当該車両等の運転者等に対し、負傷者を救護し、又は道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図るため必要な指示をすることができる。

4 緊急自動車若しくは傷病者を運搬中の車両又は郵便物運搬用自動車、乗合自動車、トロリーバス若しくは路面電車で当該業務に従事中のものの運転者は、当該業務のため引き続き当該車両等を運転する必要があるときは、第一項の規定にかかわらず、その他の乗務員に第一項前段に規定する措置を講じさせ、又は同項後段に規定する報告をさせて、当該車両等の運転を継続することができる。

 (罰則 第一項前段については第百十七条、第百十七条の三第一号 第一項後段については第百十九条第一項第十号 第二項については第百二十条第一項第十一号の二)

 

第72条の2

 前条第三項の場合において、当該車両等の運転者等が負傷その他の理由により直ちに同項の規定による指示に従うことが困難であると認められるときは、現場にある警察官は、道路における交通の危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図るため必要な限度において、当該交通事故において損壊した物及び当該交通事故に係る車両等の積載物(以下この条において「損壊物等」という。)の移動その他応急の措置を採ることができる。

2 前項の規定による措置を採つた場合において、当該損壊物等を移動したときは、警察官は、当該損壊物等を当該損壊物等の在つた場所を管轄する警察署長に差し出さなければならない。この場合において、警察署長は、当該損壊物等を保管しなければならない。

3 第五十一条第十項から第二十項までの規定は、前二項の規定による措置に係る損壊物等について準用する。この場合において、同条第十項中「所有者等に対し」とあるのは「当該損壊物等の所有者、占有者その他当該損壊物等について権原を有する者(以下この条において「所有者等」という。)に対し」と、同条第十一項中「前項後段」とあるのは「腐敗し、若しくは変質するおそれがあるとき、又は前項後段」と、「費用」とあるのは「費用又は手数」と、同条第十四項中「運転者等又は所有者等」とあるのは「所有者等」と、同条第十五項中「運転者等又は所有者等」とあるのは「所有者等」と読み替えるものとする。

 

第73条(妨害の禁止)

 交通事故があつた場合において、当該交通事故に係る車両等の運転者等以外の者で当該車両等に乗車しているものがあるときは、その者は、当該車両等の運転者等が第七十二条第一項前段に規定する措置を講じ、又は同項後段に規定する報告をするのを妨げてはならない。

 (罰則 第百二十条第一項第九号)

 

第3節 使用者の義務

 

第74条(車両等の使用者の義務)

 車両等の使用者は、その者の業務に関し当該車両等を運転させる場合には、当該車両等の運転者及び安全運転管理者、副安全運転管理者その他当該車両等の運行を直接管理する地位にある者に、この法律又はこの法律に基づく命令に規定する車両等の安全な運転に関する事項を遵守させるように努めなければならない。

2 車両の使用者は、当該車両の運転者に車両の駐車に関しこの法律又はこの法律に基づく命令に規定する事項を遵守させるとともに、当該車両を適正に駐車する場所を確保することその他駐車に関しての車両の適正な使用のために必要な措置を講ずるよう努めなければならない。

3 消防用自動車、救急用自動車その他の政令で定める自動車の使用者は、当該自動車の運転者に対し、当該自動車の安全な運転を確保するために必要な教育を行うように努めなければならない。

 

第74条の2(安全運転管理者等)

 自動車の使用者(道路運送法の規定による自動車運送事業者(道路運送車両法の規定による軽自動車を使用して貨物を運送する事業を経営する者を除く。以下同じ。)及び貨物運送取扱事業法(平成元年法律第八十二号)の規定による第二種利用運送事業を経営する者を除く。以下この条において同じ。)は、自動車の安全な運転に必要な業務(自動車の装置の整備に関する業務を除く。第七十五条の二の二第一項において同じ。)を行わせるため、総理府令で定める台数以上の自動車の使用の本拠ごとに、年齢、自動車の運転の管理の経験その他について総理府令で定める要件を備える者のうちから、安全運転管理者を選任しなければならない。

2 自動車の使用者は、安全運転管理者の業務を補助させるため、総理府令で定める台数以上の自動車を使用する本拠ごとに、年齢、自動車の運転の経験その他について総理府令で定める要件を備える者のうちから、総理府令で定めるところにより、副安全運転管理者を選任しなければならない。

3 自動車の使用者は、安全運転管理者又は副安全運転管理者(以下「安転管理者等」という。)を選任したときは、選任した日から十五日以内に、総理府令で定める事項を当該自動車の使用の本拠の位置を管轄する公安委員会に届け出なければならない。これを解任したときも、同様とする。

4 公安委員会は、安全運転管理者等が第一項又は第二項の総理府令で定める要件を備えないこととなつたときは、自動車の使用者に対し、当該安全運転管理者等の解任を命ずることができる。

5 安全運転管理者の処理すべき事項の範囲は、総理府令で定める。

6 自動車の使用者は、安全運転管理者に対し、前項の規定に基づく総理府令で定める事項を処理するため必要な権限を与えなければならない。

7 自動車の使用者は、公安委員会からその選任に係る安全運転管理者等について第百八条の二第一項第一号に掲げる講習を行う旨の通知を受けたときは、当該安全運転管理者等に当該講習を受けさせなければならない。

(罰則 第一項、第二項及び第四項については第百二十条第一項第十一号の三、第百二十三条第三項については第百二十一条第一項第九号の二、第百二十三条)

 

第75条(自動車の使用者の義務等)

 自動車(牽引されるための構造及び装置を有する車両で車両総重量(道路運送車両法第四十条第三号の車両総重量をいう。)が七百五十キログラムを超えるもの(以下「重被牽引車」という。)を含む。以下この条、次条及び第七十五条の二の二第二項において同じ。)の使用者(安全運転管理者等その他自動車の運行を直接管理する地位にある者を含む。次項において「使用者等」という。)は、その者の業務に関し、自動車の運転者に対し、次の各号のいずれかに掲げる行為をすることを命じ、又は自動車の運転者がこれらの行為をすることを容認してはならない。

 一 第八十四条第一項の規定による公安委員会の運転免許を受けている者(第百七条の二の規定により国際運転免許証又は外国運転免許証で自動車を運転することができることとされている者を含む。以下この項において同じ。)でなければ運転することができないこととされている自動車を当該運転免許を受けている者以外の者(第九十条第三項、第百三条第二項若しくは第四項又は第百三条の二第一項の規定により当該運転免許の効力が停止されている者を含む。)が運転すること。

 二 第二十二条第一項の規定に違反して自動車を運転すること。

 三 第六十五条第一項の規定に違反して自動車を運転すること。

 四 第六十六条の規定に違反して自動車を運転すること。

 五 第八十五条第五項若しくは第六項の規定に違反して大型自動車を運転し、同条第七項の規定に違反して普通自動車を運転し、又は同条第八項の規定に違反して自動二輪車を運転すること。

 六 第五十七条第一項の規定に違反して積載をして自動車を運転すること。

 七 放置行為(高速自動車国道又は自動車専用道路において自動車を離れて直ちに運転することができない状態にする行為(当該行為により自動車が第七十五条の八第一項の規定に違反して駐車することとなる場合のもの又は自動車が同項の規定に違反して駐車している場合におけるものに限る。)を含む。次条において同じ。)

2 自動車の使用者等が前項の規定に違反し、当該違反により自動車の運転者が同項各号のいずれかに掲げる行為をした場合において、自動車の使用者がその者の業務に関し自動車を使用することが著しく道路における交通の危険を生じさせ、又は著しく交通の妨害となるおそれがあると認めるときは、当該違反に係る自動車の使用の本拠の位置を管轄する公安委員会は、政令で定める基準に従い、当該自動車の使用者に対し、六月を超えない範囲内で期間を定めて、当該違反に係る自動車を運転し、又は運転させてはならない旨を命ずることができる。

3 公安委員会は、前項の規定による命令をしようとする場合において、当該命令に係る自動車の使用者が道路運送法の規定による自動車運送事業者又は貨物運送取扱事業法の規定による第二種利用運送事業を経営する者であるときは、当該事業を監督する行政庁の意見を聴かなければならない。

4 公安委員会は、第二項の規定による命令をしようとするときは、行政手続法(平成五年法律第八十八号)第十三条第一項の規定による意見陳述のための手続の区分にかかわらず、聴聞を行わなければならない。

5 公安委員会は、前項の聴聞を行うに当たつては、その期日の一週間前までに、行政手続法第十五条第一項の規定による通知をし、かつ、聴聞の期日及び場所を公示しなければならない。

6 前項の通知を行政手続法第十五条第三項に規定する方法によつて行う場合においては、同条第一項の規定により聴聞の期日までにおくべき相当な期間は、二週間を下回つてはならない。

7 第四項の聴聞の期日における審理は、公開により行わなければならない。

8 第四項の聴聞の主宰者は、必要があると認めるときは、道路交通に関する事項に関し専門的知識を有する参考人又は当該事案の関係人の出頭を求め、これらの者からその意見又は事情を聴くことができる。

9 公安委員会は、第二項の規定による命令をしたときは、当該命令を受けた自動車の使用者に対し、運転し、又は運転させてはならないこととなる自動車の番号標の番号その他の総理府令で定める事項を記載した文書を交付し、かつ、当該自動車の前面の見やすい箇所に総理府令で定める様式の標章をはり付けるものとする。

10 前項の規定により標章をはり付けられた自動車について、当該自動車の使用者から当該自動車を買い受けた者その他当該自動車の使用について権原を有する第三者は、総理府令で定めるところにより、公安委員会に対し、当該標章を取り除くべきことを申請することができる。この場合において、公安委員会は、当該標章を取り除かなければならない。

11 何人も、第九項の規定によりはり付けられた標章を破損し、又は汚損してはならず、また、当該自動車に係る運転の禁止の期間を経過した後でなければ、これを取り除いてはならない。

(罰則 第一項第一号、第二号及び第五号については第百十八条第一項第三号の三、第百二十三条第一項第三号については第百十七条の二第二号、第百十九条第一項第十一号、第百二十三条第一項第四号については第百十七条の二第三号、第百十八条第一項第三号の三、第百二十三条第一項第六号については第百十八条第一項第三号の四、第百十九条第一項第十二号、第百二十三条第一項第七号については第百十九条の二第一項第三号、第百二十三条第二項については第百十九条第一項第十二号の二、第百二十三条第十一項については第百二十一条第一項第九号)

 

第75条の2

 公安委員会が自動車の使用者に対し第五十一条の四(第七十五条の八第三項において準用する場合を含む。)の規定による指示をした場合において、当該使用者に係る当該自動車につきその指示を受けた後一年以内に放置行為が行われ、かつ、当該使用者が当該自動車を使用することが著しく交通の危険を生じさせ又は著しく交通の妨害となるおそれがあると認めるときは、当該自動車の使用の本拠の位置を管轄する公安委員会は、政令で定める基準に従い、当該使用者に対し、三月を超えない範囲内で期間を定めて、当該自動車を運転し、又は運転させてはならない旨を命ずることができる。

2 前項の規定は、第五十八条の四の規定による指示をした場合について準用する。この場合において、同項中「放置行為」とあるのは「過積載をして車両を運転する行為」と、「生じさせ又は著しく交通の妨害となる」とあるのは「生じさせる」と読み替えるものとする。

3 前条第三項から第十一項までの規定は、第一項(前項において準用する場合を含む。)の規定による命令について準用する。(罰則 第一項及び第二項については第百十九条第一項第十二号の二、第百二十三条第三項については第百二十一条第一項第九号)

 

第75条の2の2(報告又は資料の提出)

 公安委員会は、安全運転管理者が選任されている自動車の使用の本拠について自動車の安全な運転に必要な業務の推進を図るため必要があると認めるときは、当該安全運転管理者を選任している自動車の使用者又は当該安全運転管理者に対し、必要な報告又は資料の提出を求めることができる。

2 公安委員会は、駐車又は積載に関しての自動車の適正な使用の推進を図るため必要があると認めるときは、自動車の使用者に対し、必要な報告又は資料の提出を求めることができる。

 

第4章の2 高速自動車国道等における自動車の交通方法等の特例

 

第75条の2の3(通則)

 高速自動車国道及び自動車専用道路における自動車の交通方法等については、前四章に定めるもののほか、この章の定めるところによる。

 

第75条の3(危険防止等の措置)

 警察官は、道路の損壊、交通事故の発生その他の事情により高速自動車国道又は自動車専用道路(以下「高速自動車国道等」という。)において交通の危険が生じ、又は交通の混雑が生ずるおそれがある場合において、当該道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図るためやむを得ないと認めるときは、必要な限度において、その現場に進行してくる自動車の通行を禁止し、若しくは制限し、又はその現場にある自動車の運転者に対し、第十七条第一項及び道路法第四十七条第四項の規定に基づく政令の規定にかかわらず路肩又は路側帯を通行すべきことを命じ、若しくは第八条第一項、第三章第一節、同章第六節若しくはこの章に規定する自動車の通行方法と異なる通行方法によるべきことを命ずることができる。

(罰則 第百十九条第一項第十二号の三)

 

第2節 自動車の交通方法

 

第75条の4(最低速度)

 自動車は、法令の規定によりその速度を減ずる場合及び危険を防止するためやむを得ない場合を除き、高速自動車国道の本線車道(政令で定めるものを除く。)においては、道路標識等により自動車の最低速度が指定されている区間にあつてはその最低速度に、その他の区間にあつては政令で定める最低速度に達しない速度で進行してはならない。

(罰則 第百二十条第一項第十二号)

 

第75条の5(横断等の禁止)

 自動車は、本線車道においては、横断し、転回し、又は後退してはならない。

 (罰則 第百十九条第一項第二号の二)

 

第75条の6(本線車道に入る場合等における他の自動車との関係)

 自動車(緊急自動車を除く。)は、本線車道に入ろうとする場合(本線車道から他の本線車道に入ろうとする場合にあつては、道路標識等により指定された本線車道に入ろうとする場合に限る。)において、当該本線車道を通行する自動車があるときは、当該自動車の進行妨害をしてはならない。ただし、当該交差点において、交通整理が行なわれているときは、この限りでない。

 

2 緊急自動車以外の自動車は、緊急自動車が本線車道に入ろうとしている場合又はその通行している本線車道から出ようとしている場合においては、当該緊急自動車の通行を妨げてはならない。

 (罰則 第百二十条第一項第二号)

 

第75条の7(本線車道の出入の方法)

 自動車は、本線車道に入ろうとする場合において、加速車線が設けられているときは、その加速車線を通行しなければならない。

2 自動車は、その通行している本線車道から出ようとする場合においては、あらかじめその前から出口に接続する車両通行帯を通行しなければならない。この場合において、減速車線が設けられているときは、その減速車線を通行しなければならない。

(罰則 第百二十一条第一項第五号)

 

第75条の8(停車及び駐車の禁止)

 自動車(これにより牽引されるための構造及び装置を有する車両を含む。以下この条において同じ。)は、高速自動車国道等においては、法令の規定若しくは警察官の命令により、又は危険を防止するため一時停止する場合のほか、停車し、又は駐車してはならない。ただし、次の各号のいずれかに掲げる場合においては、この限りでない。

 一 駐車の用に供するため区画された場所において停車し、又は駐車するとき。

 二 故障その他の理由により停車し、又は駐車することがやむを得ない場合において、停車又は駐車のため十分な幅員がある路肩又は路側帯に停車し、又は駐車するとき。

 三 乗合自動車が、その属する運行系統に係る停留所において、乗客の乗降のため停車し、又は運行時間を調整するため駐車するとき。

 四 料金支払いのため料金徴収所において停車するとき。

2 第五十条の二及び第五十一条の規定は、自動車が前項の規定に違反して停車し、又は駐車していると認められる場合について準用する。この場合において、同条第六項中「当該車両が駐車している場所からの距離が五十メートルを超えない道路上の場所」とあるのは「政令で定める場所」と、同条第七項中「当該車両が駐車している場所からの距離が五十メートルを超えない範囲の地域内の道路上に当該車両を移動する場所がないとき」とあるのは「前項の政令で定める場所に当該車両を移動することができないとき」と、同条第八項中「駐車場、空地、第六項に規定する場所以外の道路上の場所その他の場所」とあるのは「第六項に規定する場所以外の場所」と読み替えるものとする。

3 第五十一条の四の規定は、自動車の運転者が高速自動車国道等において自動車を離れて直ちに運転することができない状態にする行為(当該行為により自動車が第一項の規定に違反して駐車することとなる場合のもの又は自動車が同項の規定に違反して駐車している場合におけるものに限る。)をし、当該自動車につき、前項において準用する第五十一条第三項、第六項又は第八項の規定による措置が採られた場合について準用する。

(罰則 第一項については第百十九条の二第一項第二号、第百十九条の三第一項第四号第二項については第百十九条第一項第三号、第百二十一条第一項第九号)

 

第75条の9(緊急自動車等の特例)

 緊急自動車又は第四十一条第三項の総理府令で定めるもつぱら交通の取締りに従事する自動車については、第七十五条の五及び第七十五条の七の規定は、適用しない。

2 政令で定めるところにより道路の維持、修繕等のための作業に従事している場合における道路維持作業用自動車については、第七十五条の四及び第七十五条の五の規定は、適用しない。

 

第3節 運転者の義務

 

第75条の10(自動車の運転者の遵守事項)

 自動車の運転者は、高速自動車国道等において自動車を運転しようとするときは、あらかじめ、燃料、冷却水若しくは原動機のオイルの量又は貨物の積載の状態を点検し、必要がある場合においては、高速自動車国道等において燃料、冷却水若しくは原動機のオイルの量の不足のため当該自動車を運転することができなくなること又は積載している物を転落させ、若しくは飛散させることを防止するための措置を講じなければならない。

 (罰則 第百十九条第一項第十二号の四、同条第二項)

 

第75条の11(故障等の場合の措置)

 自動車の運転者は、故障その他の理由により本線車道若しくはこれに接する加速車線、減速車線若しくは登坂車線(以下「本線車道等」という。)又はこれらに接する路肩若しくは路側帯において当該自動車を運転することができなくなつたときは、政令で定めるところにより、当該自動車が故障その他の理由により停止しているものであることを表示しなければならない。

2 自動車の運転者は、故障その他の理由により本線車道等において運転することができなくなつたときは、速やかに当該自動車を本線車道等以外の場所に移動するため必要な措置を講じなければならない。

(罰則 第一項については第百二十条第一項第十二号の二)

 

第5章 道路の使用等

 

第76条(禁止行為)

 何人も、信号機若しくは道路標識等又はこれらに類似する工作物若しくは物件をみだりに設置してはならない。

2 何人も、信号機又は道路標識等の効用を妨げるような工作物又は物件を設置してはならない。

3 何人も、交通の妨害となるような方法で物件をみだりに道路に置いてはならない。

4 何人も、次の各号に掲げる行為は、してはならない。

 一 道路において、酒に酔つて交通の妨害となるような程度にふらつくこと。

 二 道路において、交通の妨害となるような方法で寝そべり、すわり、しやがみ、又は立ちどまつていること。

 三 交通のひんぱんな道路において、球戯をし、ローラー・スケートをし、又はこれらに類する行為をすること。

 四 石、ガラスびん、金属片その他道路上の人若しくは車両等を損傷するおそれのある物件を投げ、又は発射すること。

 五 前号に掲げるもののほか、道路において進行中の車両等から物件を投げること。

 六 道路において進行中の自動車、トロリーバス又は路面電車に飛び乗り、若しくはこれらから飛び降り、又はこれらに外からつかまること。

 七 前各号に掲げるもののほか、道路又は交通の状況により、公安委員会が、道路における交通の危険を生じさせ、又は著しく交通の妨害となるおそれがあると認めて定めた行為

(罰則 第一項及び第二項については第百十八条第一項第四号、第百二十三条第三項については第百十九条第一項第十二号、第百二十三条第四項については第百二十条第一項第九号)

 

第77条(道路の使用の許可)

 次の各号のいずれかに該当する者は、それぞれ当該各号に掲げる行為について当該行為に係る場所を管轄する警察署長(以下この節において「所轄警察署長」という。)の許可(当該行為に係る場所が同一の公安委員会の管理に属する二以上の警察署長の管轄にわたるときは、そのいずれかの所轄警察署長の許可。以下この節において同じ。)を受けなければならない。

 一 道路において工事若しくは作業をしようとする者又は当該工事若しくは作業の請負人

 二 道路に石碑、銅像、広告板、アーチその他これらに類する工作物を設けようとする者

 三 場所を移動しないで、道路に露店、屋台店その他これらに類する店を出そうとする者

 四 前各号に掲げるもののほか、道路において祭礼行事をし、又はロケーシヨンをする等一般交通に著しい影響を及ぼすような通行の形態若しくは方法により道路を使用する行為又は道路に人が集まり一般交通に著しい影響を及ぼすような行為で、公安委員会が、その土地の道路又は交通の状況により、道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図るため必要と認めて定めたものをしようとする者

2 前項の許可の申請があつた場合において、当該申請に係る行為が次の各号のいずれかに該当するときは、所轄警察署長は、許可をしなければならない。

 一 当該申請に係る行為が現に交通の妨害となるおそれがないと認められるとき。

 二 当該申請に係る行為が許可に付された条件に従つて行なわれることにより交通の妨害となるおそれがなくなると認められるとき。

 三 当該申請に係る行為が現に交通の妨害となるおそれはあるが公益上又は社会の慣習上やむを得ないものであると認められるとき。

3 第一項の規定による許可をする場合において、必要があると認めるときは、所轄警察署長は、当該許可に係る行為が前項第一号に該当する場合を除き、当該許可に道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図るため必要な条件を付することができる。

4 所轄警察署長は、道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図るため特別の必要が生じたときは、前項の規定により付した条件を変更し、又は新たに条件を付することができる。

5 所轄警察署長は、第一項の規定による許可を受けた者が前二項の規定による条件に違反したとき、又は道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図るため特別の必要が生じたときは、その許可を取り消し、又はその許可の効力を停止することができる。

6 所轄警察署長は、第三項又は第四項の規定による条件に違反した者について前項の規定による処分をしようとするときは、当該処分に係る者に対し、あらかじめ、弁明をなすべき日時、場所及び当該処分をしようとする理由を通知して、当該事案について弁明及び有利な証拠の提出の機会を与えなければならない。ただし、交通の危険を防止するため緊急やむを得ないときは、この限りでない。

7 第一項の規定による許可を受けた者は、当該許可の期間が満了したとき、又は第五項の規定により当該許可が取り消されたときは、すみやかに当該工作物の除去その他道路を原状に回復する措置を講じなければならない。

(罰則 第一項については第百十九条第一項第十二号の五、第百二十三条第三項及び第四項については第百十九条第一項第十三号、第百二十三条第七項については第百二十条第一項第十三号、第百二十三条)

 

第78条(許可の手続)

 前条第一項の規定による許可を受けようとする者は、総理府令で定める事項を記載した申請書を所轄警察署長に提出しなければならない。

2 前条第一項の規定による許可に係る行為が道路法第三十二条第一項又は第三項の規定の適用を受けるものであるときは、前項の規定による申請書の提出は、当該道路の管理者を経由して行なうことができる。この場合において、道路の管理者は、すみやかに当該申請書を所轄警察署長に送付しなければならない。

3 所轄警察署長は、前条第一項の規定による許可をしたときは、許可証を交付しなければならない。

4 前項の規定による許可証の交付を受けた者は、当該許可証の記載事項に変更を生じたときは、所轄警察署長に届け出て、許可証に変更に係る事項の記載を受けなければならない。

5 第三項の規定による許可証の交付を受けた者は、当該許可証を亡失し、滅失し、汚損し、又は破損したときは、所轄警察署長に許可証の再交付を申請することができる。

6 第一項の申請書の様式、第三項の許可証の様式その他前条第一項の許可の手続について必要な事項は、総理府令で定める。

(罰則 第四項については第百二十一条第一項第九号)

 

第79条(道路の管理者との協議)

 所轄警察署長は、第七十七条第一項の規定による許可をしようとする場合において、当該許可に係る行為が道路法第三十二条第一項又は第三項の規定の適用を受けるものであるときは、あらかじめ、当該道路の管理者に協議しなければならない。

 

第80条(道路の管理者の特例)

 道路法による道路の管理者が道路の維持、修繕その他の管理のため工事又は作業を行なおうとするときは、当該道路の管理者は、第七十七条第一項の規定にかかわらず、所轄警察署長に協議すれば足りる。

2 前項の協議について必要な事項は、総理府令・建設省令で定める。

 

第2節 危険防止等の措置

 

第81条(違法工作物等に対する措置)

 警察署長は、次の各号のいずれかに該当する者に対し、当該違反行為に係る工作物又は物件(以下この節において「工作物等」という。)の除去、移転又は改修、当該違反行為に係る工事又は作業(以下この節において「工事等」という。)の中止その他当該違反行為に係る工作物等又は工事等について、道路における危険を防止し、又は交通の妨害を排除するため必要な措置をとることを命ずることができる。

 一 第七十六条第一項又は第二項の規定に違反して工作物等を設置した者

 二 第七十六条第三項の規定に違反して物件を置いた者

 三 第七十七条第一項の規定に違反して工作物等を設置し、又は工事等を行なつた者

 四 第七十七条第三項又は第四項の規定による所轄警察署長が付した条件に違反した者

 五 第七十七条第七項の規定に違反して当該工作物の除去その他道路を原状に回復する措置を講じなかつた者

2 警察署長は、前項第一号、第二号又は第三号に掲げる者の氏名及び住所を知ることができないため、これらの者に対し、前項の規定による措置をとることを命ずることができないときは、自ら当該措置をとることができる。この場合において、工作物等を除去したときは、警察署長は、当該工作物等を保管しなければならない。

3 警察署長は、前項後段の規定により工作物等を保管したときは、当該工作物等の占有者、所有者その他当該工作物等について権原を有する者(以下この条及び第八十二条において「占有者等」という。)に対し当該工作物等を返還するため、政令で定めるところにより、政令で定める事項を公示しなければならない。

4 警察署長は、第二項の規定により保管した工作物等が滅失し、若しくは破損するおそれがあるとき、又は前項の規定による公示の日から起算して三月を経過してもなお当該工作物等を返還することができない場合において、政令で定めるところにより評価した当該工作物等の価額に比し、その保管に不相当な費用若しくは手数を要するときは、政令で定めるところにより、当該工作物等を売却し、その売却した代金を保管することができる。

5 警察署長は、前項の規定による工作物等の売却につき買受人がない場合において、同項に規定する価額が著しく低いときは、当該工作物等を廃棄することができる。

6 第四項の規定により売却した代金は、売却に要した費用に充てることができる。

7 第二項から第四項までに規定する工作物等の除去、移転、改修、保管、売却、公示等に要した費用は、当該工作物等の返還を受けるべき占有者等の負担とする。

8 警察署長は、前項の規定により占有者等の負担とされる負担金につき納付すべき金額、納付の期限及び場所を定め、これらの者に対し、文書でその納付を命じなければならない。

9 警察署長は、前項の規定により納付を命ぜられた者が納付の期限を経過しても負担金を納付しないときは、督促状によつて納付すべき期限を指定して督促しなければならない。この場合において、警察署長は、負担金につき年十四・五パーセントの割合により計算した額の範囲内の延滞金及び督促に要した手数料を徴収することができる。

10 前項の規定による督促を受けた者がその指定期限までに負担金並びに同項後段の延滞金及び手数料(以下この条において「負担金等」という。)を納付しないときは、警察署長は、地方税の滞納処分の例により、負担金等を徴収することができる。この場合における負担金等の先取特権の順位は、国税及び地方税に次ぐものとする。

11 納付され又は徴収された負担金等は、当該警察署の属する都道府県の収入とする。

12 第三項に規定する公示の日から起算して六月を経過してもなお第二項の規定により保管した工作物等(第四項の規定により売却した代金を含む。以下この項において同じ。)を返還することができないときは、当該工作物等の所有権は、当該警察署の属する都道府県に帰属する。

(罰則 第一項については第百十九条第一項第十四号、第百二十三条)

 

第81条の2(転落積載物等に対する措置)

 警察署長は、道路に転落し、又は飛散した車両等の積載物(以下この条及び第八十三条において「転落積載物等」という。)が道路における交通の危険を生じさせ、又は著しく交通の妨害となるおそれがあるときは、当該転落積載物等の占有者、所有者その他当該転落積載物等について権原を有する者(次項において「転落積載物等の占有者等」という。)に対し、当該転落積載物等の除去その他当該転落積載物等について道路における危険を防止し、又は交通の円滑を図るため必要な措置を採るべきことを命ずることができる。

2 前項の場合において、当該転落積載物等の占有者等の氏名及び住所を知ることができないため、これらの者に対し、同項の規定による措置を採ることを命ずることができないときは、警察署長は、自ら当該措置を採ることができる。この場合において、転落積載物等を除去したときは、警察署長は、当該転落積載物等を保管しなければならない。

3 前条第三項から第十二項までの規定は、前項の規定による措置に係る転落積載物等について準用する。

 (罰則 第一項については第百十九条第一項第十四号、第百二十三条)

 

第82条(沿道の工作物等の危険防止措置)

 警察署長は、沿道の土地に設置されている工作物等が道路における交通の危険を生じさせ、又は著しく交通の妨害となるおそれがあるときは、当該工作物等の占有者等に対し、当該工作物等の除去その他当該工作物等について道路における交通の危険を防止し、又は交通の円滑を図るため必要な措置をとることを命ずることができる。

2 前項の場合において、当該工作物等の占有者等の氏名及び住所を知ることができないため、これらの者に対し、前項の規定による措置をとることを命ずることができないときは、警察署長は、自ら当該措置をとることができる。この場合において、工作物等を除去したときは、警察署長は、当該工作物等を保管しなければならない。

3 第八十一条第三項から第十二項までの規定は、前項後段の規定による保管について準用する。

(罰則 第一項については第百十九条第一項第十四号、第百二十三条)

 

第83条(工作物等に対する応急措置)

 警察官は、道路又は沿道の土地に設置されている工作物等又は転落積載物等が著しく道路における交通の危険を生じさせ、又は交通の妨害となるおそれがあり、かつ、急を要すると認めるときは、道路における交通の危険を防止し、又は交通の妨害を排除するため必要な限度において、当該工作物等又は転落積載物等の除去、移転その他応急の措置を採ることができる。

2 前項に規定する措置を採つた場合において、工作物等又は転落積載物等を除去したときは、警察官は、当該工作物等又は転落積載物等を、当該工作物等が設置されていた場所又は当該転落積載物等が在つた場所を管轄する警察署長に差し出さなければならない。この場合において、警察署長は、当該工作物等又は転落積載物等を保管しなければならない。

3 第八十一条第三項から第十二項までの規定は、前項の規定による保管について準用する。

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